物体の運 動

つるつる、ざらざらの2種類の 板を用意して、図のように2つの斜面と水平な床を作り、その上で物体の運動を調べました。斜面の傾きは右を左も同じです。物体を右の斜面 の高さ90cmの所において、そっと手を放すと物体は両方の斜面を行き来します。次の3種類の実験をし、物体が左右の斜面のどこまで登る かを調べました。そのうち1往復半を記録したものが表1です。

[図 1の実験] 水平な床はつるつ るで、斜面は右、左の両方ともつるつるである。
[図2の実験] 水平な床はつるつるで、斜面は右はつるつる、左はざらざらである。
[図3の実験] 水平な床はつるつるで、斜面は右はざらざら、左はつるつるである。

問 1 物体はまず右側の斜面を下っ て水平な床を運動した後、左側の斜面を1回目に登ります。その高さを表1から読み取ると、次のような性質がわかります。(あ) (い) に、 最も簡単な分数を答えなさい。
[性質1] つるつるの斜面だけをすべ るときには、もとの高さまで登るこ とができる。
[性質2] ざらざらの斜面を1回登ると、登る高さは前の( あ )倍になってしまう。
[性質3] ざらざらの斜面を1回下ると、次に登る高さは( い )倍になってしまう。

表1
 斜面の種類
右側の斜面で
手を放す高さ
1回目に左側の
斜面を登る高さ
1回目に右側の
斜面を登る高さ
2回目に左側の
斜面を登る高さ
図1
90cm
90cm 90cm 90cm
図2
90cm 60cm
20cm
図3
90cm 45cm
15cm

問2  表1の空らん①、②に数値を答えなさい。
問3  図3の実験で登る高さが、はじめて1cmより低くなるのは、何回目にどちら側の斜面を登るときですか。

図4のように、ざらざらの 水平な床を、図1と同じつるつるの2つの斜面の間につけて、右側の斜面から物体をすべらせる実験を行いました。手を放す高さと床の長さを いろいろ変えて、手を放したあと最初の1往復半を記録したものが表2です。

表2
床の長さ
右側の斜面で
手を放す高さ
1回目に左側の
斜面を登る高さ
1回目に右側の
斜面を登る高さ
2回目に左側の
斜面を登る高さ
25cm
90cm
85cm 80cm 75cm
25cm
70cm 65cm
60cm 55cm
25cm
50cm 45cm
40cm 35cm
50cm
90cm
80cm
70cm
60cm

問4   床の長さを35cmにし、手を 放す高さも35cmにしました。1回目に左側の斜面を登る高さは何cmですか。また、1回目に右側の斜面を登る高さは何cmですか。

問5   手を放す高さを35cmにしま した。物体が止まるまでに、左側の斜面を登る回数がちょうど3回となるようにするには、水平な床の長さを何cm以上何cm未満にすればよいで すか。

問6   手を放す高さを35cmにしま した。物体が止まるまでに、左側の斜面を登る回数がちょうど3回となるようにして、最後に物体が止まる場所が水平な床のちょうど真ん中になる ようにするには、水平な床の長さを何cmにすればよいですか。すべて答えなさい。答えが割り切れないときは分数で答えなさい。

問7   図3の実験と図4の実験を比べ たときに、2回目に左側の斜面を登るときの高さが等しくなり、さらに、3回目に左側の斜面を登るときの高さも等しくなるようにするには、図4 の実験で床の長さを何cmで、手を放す高さを何cmにすればよいですか。


解 説

問 1  (あ)は、表の図2のらん より、60÷90=2/3  (い)は、表の図3のらんより、45÷90=1/2 となる。
答え (あ) 2/3 (い) 1/2

問2   ①は、60cmの高さから放す ことになるので、60×1/2=30cm、②は45cmの高さから放すことになるので、45×2/3=30cmとな る。

答え ① 30cm、②30cm

問3   斜面1往復で 1/2×2/3=1/3の高さになるので、90cm×1/3×1/3×1/3×1 /3=10 /9cmなので、あと1回で1cmより低くなる。

答え 5回目 に左側

問4   表2から、25cmの床の長さ では、登る高さは5cmずつ減り、50cmの床の長さでは、登る高さは10cmずつ減っている。床の長さに比例して登る高さの減少する長さが 大きくなっていると考えられるので、床の長さ35cmでは、5cm÷25×35=7cmずつ減る。よってそれぞ れ、28cm、21cmとなる。

答え  28cm、21cm

問5   左右合わせて5回目に登ろうと するとき、登る高さが0cmになったとすると、35÷5=7cmずつ減少するので、問4より床の長さは35cmである。左右合 わせて7回目に登ろうとするとき、登る高さが0cmになったとすると、35÷7=5cmずつ減少するので、表2より床の長さは 25cmである。

答え  25cm以上35cm未満

問6   前問より、物体を35cmの高 さから放すときは、物体は35cmの床を5回通り過ぎるエネルギーを持っている。床を5.5回通り過ぎるには、 35×5÷5.5=350/11cmの床にすればよい。床を6.5回通り過ぎるには 35×5÷6.5=350/13cmの床にすればよい。

答え  350/11cm、350/13cm

問7   図3の実験では、2回目左斜面 を登る高さが15cmとなっており、同3回目は15cm×1/3=5cmとなる。図4の実験では、床の長さ25cmで考えると、 手を放す高さを30cmにすると、2回目左斜面を登る高さは30→25→20→15cmとなり、同3回目は20→15→10→5cmとなり、 図3の実験と一致する。

答え 床の長 さ25cm、手を放す高さ30cm


考 察
高い所にある物体は位置エネルギーというものを持っています。そのエネルギーが運動エネルギーとなって斜面を下ります が、登り下りしながら、ざらざらの面の摩擦によってそのエネルギーを奪われ最後には停止します。



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