理科の難 問ー中和熱と溶解熱(プレ灘 改)           
塩酸に水酸化ナトリウムの固体を加えると、水酸化ナトリウ ムが溶けるときに発生する溶解熱に加え、中和熱と呼ばれる中和反応による熱が発生し、この2種類の熱により溶液の温度が上がります。
ただし、発生した熱は、溶液の温度を上げるためだけに使われ、溶液1㎤の温度を1℃上げるために必要な熱はつねに一定であるもの とし ます。
また、水や塩酸に水酸化ナトリウムの固体を加えても溶液の体積は変わらないものとします。
  同じ温度の塩酸100㎤にいろいろな重さの水酸化ナトリウムの固体を加えて反応させたのち、溶液の温度をしらべると下の表の よう になった。
このとき、いずれの場合も水酸化ナトリウムの固体が溶け残ることはなかった。


水酸化ナトリウムの固体(g)
2
4
6
8
10
溶液の温度(℃)

32.0 44.0 51.8 56.8 61.8

塩酸100㎤に水酸化ナトリウム水溶液を何㎤加えると、溶液の上昇温度が4℃になりますか。2通り 答えな さい。ただし塩酸と水酸化ナトリウ ム水溶液は体積比1:1で中和し、このとき発生した熱は中和熱のみであるものとする。

     
      
       
 
      
            
       
解 説
まず中和点を求める。
表では固体が2g〜4gのとき温度が12℃上昇し、固体が6g~10gのとき2gあたり5℃上昇しているので、固体が4g~6g の間 に中和点があるはず。下のグラフより固体が4.8gのとき中和し、このとき溶液の温度が48.8℃であることがわかる。


中和が続いた場合のグラフと溶解熱のみ発生した場合のグラフの交点 が中和点となる。

(46.8−44):(56−51.8)=2:3





(1) 水酸化ナトリウム水溶液が余る場合
表より、溶解熱のみによる上昇+5℃/2gとなるので水ナ固体2gのときの中和熱による上昇=12℃−5℃=7℃ /2g となり、下の表のようになる。


水ナの固体(g)
0
2
4
4.8
6
8
10
溶液の温度(℃)
20.0
32.0
44.0
48.8
51.8
56.8
61.8
溶解熱による上昇温度(℃)
0
5.0
10.0
12.0
15.0
20.0
25.0
中和熱による上昇温度(℃)
0
7.0
14.0
16.8
16.8
16.8
16.8

塩酸100㎤  +  水ナ水100㎤(水ナ固体4.8g)   →  中和熱による上昇温度16.8÷2=8.4℃      溶液総量200㎤
塩酸100㎤       水ナ水⬜︎㎤                                     中和熱による上昇温度8.4℃÷4℃=2.1    溶液総量200×2.1=420㎤
よって、 ⬜︎=420−100=320㎤

(2) 塩酸が余る場合
塩酸@㎤と水ナ水@㎤が反応して4℃上昇した。
→水溶液の総量に対する塩酸の比は、@:(100+@)となる。
これが(1)のときの割合100㎤:420㎤に等しいので、
@:(100+@)=100㎤:420 ㎤
これより、320×@=10000
@=31.25㎤



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